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孤島の奇譚

思いつきで始めるブログ。漫画や音楽、アニメ、小説などの感想や、突飛な思いつきなどを書く。プログラミングが趣味だから、そういう話もしたいところ。一度失敗したのに懲りないのはいつものことだ。移動しました→http://isolated-hyakunin-isshu.blogspot.jp/

奇才漫画家・岸辺露伴のスピンオフ「岸辺露伴は動かない」 ~漫画の紹介・感想 その3~

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奇才漫画家・岸辺露伴のスピンオフ「岸辺露伴は動かない」 ~漫画の紹介・感想 その3~

はじめに

 無意味に論説を振りかざすのが大好きなので漫画の紹介をしてみる。ネタバレは極力回避するが、起承転結の承辺りまでは書く可能性がある。今回は超絶に有名な作品であるため紹介する価値はないと思う。書きたくなったから書いただけである。

岸辺露伴は動かない

荒木飛呂彦

内容紹介

 「ジョジョの奇妙な冒険」第4部「ダイヤモンドは砕けない」の登場人物・岸辺露伴が主役のスピンオフ作品。全5篇収録。作者本人による解説つき。

 露伴は売れっ子漫画家であり、他者を本にして記憶を読み取ったり命令を与えたりする能力をもつスタンド「ヘブンズ・ドアー」をもつスタンド使いである。漫画に命を懸けている人物で、面白い漫画を描くためならば手段を選ばない。能力を使って平気で他人の記憶を盗み見る。そんな露伴の剃刀のような活躍を描いた作品である。

 「エピソード#16 懺悔室」は露伴がうっかり入り込んだ懺悔室で聞いた、とある男の奇妙な告白を描く。告白者はかつては食品市場で働く若者で、その日も忙しく仕事をこなしていたのだが、彼の元に食べ物を求める浮浪者が現れる。彼は多忙のあまりに浮浪者を冷たくあしらい、かなり酷な扱いをするが、それが原因で浮浪者は死亡する。そして、告白者の目の前に浮浪者の亡霊が現れ、彼が幸せの絶頂になったときに滅ぼしに舞い戻ることを告げる。その後、告白者は奇妙なまでに運が向いて大金持ちになるのだが……。ちなみに、「岸辺露伴は動かない」はエピソードの番号と発表の順序が一致しておらず、読者の知らない露伴の数々の冒険の存在を感じさせる。

 「エピソード#02 六壁坂」は露伴が取材に訪れた「六壁坂」に出現する奇妙な怪異を描く。その地の富豪の娘は「六壁坂」の妖怪に出会った。あるとき、彼女は恋人の庭師に手切れ金を払って別れを告げる。ちょうどそのときに本命の婚約者と父親が彼女の元を訪れ、彼女は庭師の恋人を追い返そうとするが、そのときの騒ぎでうっかり彼を死なせてしまう。婚約者と父親が玄関の前で待つ中、彼女は必死で死体を隠そうとするが……。そして、この彼女の逸話を知った露伴も「六壁坂」の妖怪に出会うことになる。

 「エピソード#05 富豪村」は富豪ばかりが住まう村での奇妙な試験を描く。露伴は編集者の女性からある奇妙な村の話を持ちかけられる。その村は山の中に孤立しており、その村の者に住んだものは例外なく富豪になるという。編集者の女はその村に住むための交渉を持ちかけに行くといい、露伴を取材に誘う。女が言うには、その村は「マナー」に厳しく、礼儀作法のなっていない者の話には応じないというのだが……。

 「エピソード#06 密漁海岸」は芸術たる密漁に挑んだ者たちの奇妙な末路を描く。露伴は知り合いのイタリア料理人のトニオ・トラサルディーからある鮑の密漁を持ちかけられる。その鮑は神に捧げられる特別なもので、トニオはある目的のためにその鮑の力を借りようとしたのだ。トニオは歴史に対する調査から町に伝わる「密漁」の手法を発見したという。トニオの密漁に同行した露伴は、海中で想像を絶する光景を目撃する。

 「岸辺露伴 グッチへ行く」はGucciのバッグの奇妙な秘密を描く。露伴が通訳の女を伴ってはるばるGucciの工房を訪れたのは、祖母の形見のバッグを修理してもらうためだった。その鞄に金目のものを入れると何故か消滅してしまうのである。Gucciの職人が言うには、この泥棒のような鞄はかなり特別で貴重な品であるそうだが、露伴は有無を言わせずに修理させる。旅の目的を果たした露伴だが、その後に窮地に陥ることに……。まさかのGucciとのコラボ作品で、露伴と通訳の女の突然のポージングのシーンが印象的である。

感想

 「岸辺露伴は動かない」は多くの方が名前を聞いたことがあるであろう強烈なキャラクター・岸辺露伴が主人公の作品である。最初の作「懺悔室」は1997年に発表された。長く単行本化に恵まれず、この単行本が出版されたのは2013年のことである。リアルタイムでは読んでいなかったジョジョのファンにとっては嬉しい一冊だ。 当然ながら、「ジョジョの奇妙な冒険」の読者でないと、スタンドの概念や露伴の性格になかなか馴れないと思われる。面白い作品ではあるのだが、さすがに単独で読むのは厳しい (せめて第4部だけでも読まなければなるまい) 。 収録作品のうち、岸辺露伴が「動かない」=語り手に徹しているのは「懺悔室」の1篇しかない。他の話は割と能動的に動く。作者による解説では、作者は露伴は作品に使いやすいと語っている。露伴は強い好奇心と、好奇心をもとにどんなことでもやってのける大胆さ、そして、窮地を脱する能力を併せ持つキャラクターである。露伴のその特質から「岸辺露伴は動かない」は制作されたのだろう。露伴は興味本位で変なことに深入りしやすいし、うっかり危機的状況下に置かれても生きて帰ることができるのだ。

 どの収録作品も鋭い奇妙さを見せつけるものであるが、その中でも特に面白いと思ったのは「懺悔室」と「六壁坂」である。 「懺悔室」はジョジョのような激しい頭脳戦が光る作品である。しかし、それ以上に懺悔の告白という慣習を利用した驚くべき結末が面白い。あまり語ると面白さが損なわれてしまうのが残念である。 「六壁坂」は私の知る限りでは、荒木氏の作品の中で最も恐ろしい感覚を与える作品だった。作者による解説によれば、作者は制作中に件の妖怪が「この日本のどこかに実在していそうな気分」になったというが、この作品を読んだ私自身も同じような感覚を覚えた。妙に生々しく、そしておぞましさを感じさせる作品だった。



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